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「やりたい」且つ「出来る」事はすぐに実行すべき、と実感した出来事

 小学校3年生の時に野球を始めて以来、大学4年生まで、実に14年間野球が私の生活の中心であった。中学1年生の頃に肘を痛めて以来、個人的には満足が行くプレーが出来た思い出が無い。それでも野球から多くの事を学んだし、たくさんの経験を得る事が出来たと思っている。

 

 大学3年生の春、私は選手を辞めて学生コーチになった。選手としては全くチームに貢献する見込みがなかったので、何かしらの形でチームの役に立てればと思ってのことだ。具体的には、チームの投手陣の練習メニューを組んだり、実際の練習がスムーズに進むように手配をしたり、ノックをしたりといった事を担当した。

 

 チームには、学生コーチとは別に外部から招いた投手コーチがいた。大学野球部のOBで、プロ野球のドラフトで指名されたり、社会人野球の監督として日本一に輝いたこともあるような大変実績のある人であった。

 練習メニューの決定は私に任されていたのだが、効率を重視して練習するべきだという私の考えと、常に限界を試すような厳しい練習をするべきという投手コーチの考え方にはかなりの差があり、衝突することが多かった。投手コーチが情熱的である一方、私はどこか冷めたところがある性格だったのも馬が合わなかった原因だと思う。

 

 グラウンドではどうもギクシャクした関係になってしまったのだが、引退してから思い直すと、本当に良い方であったと思う。「どうも!」、と「お疲れさん!」が口癖で、誰にでも気さくに話しかける、エネルギー溢れる方だった。ポジティブ思考の塊、まさにそんな人物であった。就職が決まった時は本当に喜んでくださったし、「お前なら偉い人になれるよ!」と何度も言って頂いて、気恥ずかしいながらも嬉しかった。

 

 私が引退した後に野球部の監督に就任されたが、体調不良ですぐに退任されてしまった。大変元気な方であっただけに、病気での退任は意外であった。また、私は卒業後に地元鳥取に戻った為、引退後は一度もお会いする事は無かった。

 2015年の春、留学の準備の為に私は再び東京に戻った。大学時代のチームメイトと再会して飲んだ際には、「元気にしているだろうか」、「今度はコーチも呼んで一緒に飲みたいな」などと話したりしていつもそのコーチが話題に上がった。私個人としても、素直になれずにギクシャクした関係で終わってしまったという印象があったので、改めてお会いして話がしたいと思っていた。一方で、体調は回復したらしいという噂も聞いていたので、留学先が決まったら挨拶に行こうかなと、いつでも会えるだろうと思い行動を先延ばしにしていた。

 

 

 

 このコーチが亡くなられたとの情報が私に届いたのは、2015年夏の事だった。てっきり体調が回復していると思いこんでいただけに、非常にショッキングな知らせだった。まだ60歳、余りにも早い別れであった。葬儀に参列しながら、もっと早く行動しなかった自分の判断を悔やんだ。

 

 

 

 普段何気なく生活していると、重要性が高く無い事を先延ばしにしがちである。また時間が出来た時にやろう、いつか気が向いたときにやろう、そんな感じでやろうと思えば出来る事を後回しにしてしまう。

 ただ、その「いつか」が一生来ない事もある。いつ、どんなことがきっかけで人生に終わりが訪れるか、それは誰にも分からない。分からないからこそ、出来る事はすぐに実行するべき・・・そう思った。

 

 

 生きていると、沢山のやりたい事が出てくる。もちろん、やりたくない事も同じくらいたくさんある。そういった事柄をざっくりと分けていくと、大体4つに分けられると思う。

 

⑴「やりたい」且つ「出来る」事

⑵「やりたい」且つ「出来ない」事

⑶「やりたくない」且つ「出来る」事

⑷「やりたくない」且つ「出来ない」事

 

 今回私が先送りにしたことは、間違いなく⑴に当たる事だ。これらを行動に移さなかった場合、残るのは後悔しかない。行動しなかったことを後悔するのは一番悪いことだ。まして、それが二度と叶わない事なら尚更だ。

 

 

⑴「やりたい」且つ「出来る」事

 これは、つべこべ言わずにすぐに実行すべき。行動しなかったことほど後悔するものは無い。両親に恩返ししたいとか、あの国に旅行に行きたいとか、どんなに小さなことでも良いのだが、自分がやりたいと思い、尚且つ直ぐに実行できることなら、すぐさま実行に移す。自分自身が後悔しない為に。

 

⑵「やりたい」且つ「出来ない」事

 これは、大変やりがいがある事。これこそ自分の人生を懸けるに値する事だと思う。プロ野球選手になりたいとか、不治の病の治療法を見つけるとか、人生を懸けてでも挑戦したい事。

 やりたい事が分からないという人もいると思うが、思いついたことを試していくことで、この分類に当てはまる事を見つけていけばよい。これが見つかれば、人生は非常に面白くなる、そう思う。

 

⑶「やりたくない」且つ「出来る」事

 これは、必要になるまで放っておけば良い。必要だと思えばすぐに実行できる。ただし、やりがいを感じるものでは無いので、無理して行動に移す必要もないと思う。

 

⑷「やりたくない」且つ「出来ない」事

  これは、完全に他人任せにしていい事。自分はやりたくないと思っても、それをやりたいと思う人だっているはず。自発的に行動している人とそうでない人が同じことをしたら、自発的な人の方が熱心に取り組むだろうし、良い結果が得られる可能性も高いと思う。

 嫌な事にも取り組むべきとか、我慢することで忍耐力がつくと主張する人もいるが、私はそういったものからは逃げていいと思う。人生いつ終わるか分からないのであるから、やりたくない事に取り組んで貴重な時間を無駄にしている暇は無い。高校野球や大学の体育会を経験した私が言うのは意外かもしれないが、我慢や忍耐という言葉を美化する考え方は好きではない。

 

 

 限られた人生において、何を優先して行動すべきなのか、何を排除して生きるべきなのか、そういった事を考えさせられた出来事であった。

 やりたいと思い、尚且つ直ぐに実行できることは迷わず行動に移す。やりたいと思い尚且つ直ぐには実現できない事に人生を懸ける。

 大事なことを学ばせてもらった。ありがとう、そして、コーチ、お疲れさん!