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会社の値段(ちくま新書)

 前回に続けて、もう一冊ファイナンス関連の書籍を紹介します。この本はファイナンス分野でも特に”企業価値評価”について書かれたものです。一言で企業価値と言っても、何をもって企業価値というのかは色々考え方があるようで、そのあたりが詳しく解説されています。

 

 一番「なるほど~」と思ったのはPERの算出式と、定率成長モデルによる企業価値の算出式が、基本的には同じものを指している、という部分でした。ファイナンスについて触れたことが無い方はなんだそれ?と思ったはずですので簡単に説明しておくと、PERはPrice Earnings Ratio(株価収益率)の略の事で、

 

①PER=株価÷1株当たり利益

 

 で表される、会社の値段を会社の利益で割った倍率の事と説明されています。つまり先程の式は、

 

②PER=会社の値段÷会社の利益

 

 となります。株式投資をする時に、この倍率をみて株価が割安だとか割高だとか判断します。一方定率成長モデルは、これも会社の価値を算出するですが、

 

企業価値=C÷(rーg)

 

 という式で表されます。Cは会社が生み出すキャッシュ、rは期待収益率でgは会社の成長率を指します(分かりにくくてすみません。説明すると長くなるので、詳しいことはウェブサイトなどでご確認ください)。

 で、面白いのは②の式を変形すると、

 

②´会社の値段=会社の利益×PER

 

 となるところです。なにが面白いかというと、②´の式と③の式は企業価値の値段を算出するためのほぼ同じ公式だという事です。とすると、PER=1÷(rーg)という事になります。

 rやgは正しい数字を決める事が難しい為使い物にならないと言っておきながら、PERを利用して株価の適正値を探ろうとする人は、矛盾しているんですね。公式を覚えるのも大事ですが、それよりも式そのものが何を意味しているのかを理解する、こっちの方が重要だなと思いました。

 

 小さい頃から何かを暗記するのに夢中だったのですが、Andersonに入ってからよく一緒に勉強する友人は、全く暗記しようとせずに理解に努めています。彼の理解力、知識を活用する力を目の当たりにして、私のこれまでのアプローチは完全に間違っていると思いました。暗記より理解ですね。

 

 

 

 さもファイナンスについて詳しいかのように語っていますが、大学で勉強した事が無ければ銀行員としてもほとんど触れたことが無い分野なので、正直素人レベルなんです。ファイナンス初心者向けに書かれた書籍は、私が読む本のレベルとしてちょうどいいのです。こういった本を読むと同時に、これからファイナンス関連の選択科目を取る中で理解度を上げていければと思っています。

 

 企業価値評価は、株式投資のほかにM&A等でも必須の知識です。M&Aに従事した事なんてないですが、(特に地方銀行に勤める人間としては)興味深い分野です。

 

会社の値段 (ちくま新書)

会社の値段 (ちくま新書)