UCLA Anderson MBA留学記 

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捨てられる銀行2 非産運用 講談社現代新書

 最近は金融関連の本を中心に読んでいます。積読状態の100冊ほどの本を読み終える目途は立っていません…。

 

 羽田空港でちょっと時間があったので、本屋で買って読みました。前作も読んだ気でいましたが、どうやら読んだ事が無いみたいでした。

 

捨てられる銀行2 非産運用 (講談社現代新書)

捨てられる銀行2 非産運用 (講談社現代新書)

 

 

 顧客利益と会社利益の溝の深さに目をつけて、会社利益を最優先して経営する日本の金融機関を批判する内容になっていました。先日森金融長官の続投が決まりましたが、彼が推し進める「真に顧客本位の業務運営」(フィデュ―シャリー・デューティー)についてもかなりスペースを割いて書いてありましたね。

 

 銀行の貸出金利が低下を続ける中、各銀行は別の収益源を確立すべく模索しています。しかしながら、利幅の大きい個人ローン・カードローンを積極的に伸ばしたところ過剰融資が問題視され、アパートローンを伸ばしたところこれも問題視され、リスク性資産の運用比率を上げたところ「素人同然の集団が過剰にリスクを取っている」と非難され…どうあがいても収益を伸ばせずに最終的に合併・再編の方向にもっていこうとしている印象もあります。

 

 金融庁の方針はさておき、金融において顧客と企業の利益が一致するような経営をしているところは殆どない。というのが現状じゃないかと思います。本書では資産運用において本当に顧客にとって好ましい商品ではなく、手数料率が高い商品を中心にセールスが行われていると批判されていました。また、最近「お金のことは銀行員に相談するな」と主張する記事をよく目にします。まあ、これは残念ながらその通りと言わぜるを得ないでしょうね。

 

 というのも、一つには銀行員の成績は銀行にどれだけの利益をもたらしたかによって評価されるからです。自分が担当していた期間に顧客の資産が何倍になろうと、関係ありません。たとえ資産が減っていても、会社に多額の利益をもたらせば「できる行員」となるわけです。だから、ノルマを達成する為に手数料を優先して販売する行員が多くても不思議ではないです。まあ、あまりにも露骨にそんなことやると当然問題になりますし、顧客にも信頼されないでしょうから、そこは上手く立ち回るのでしょうが。

 

 もう一つは、銀行員自体金融商品について精通していると言えないからです。いや、もちろん中には知識豊富で顧客本位に考える素晴らしい行員も沢山いると思います。ただ、一定数精通していない人間もいるはずです。余り知識の無い人が、もっと知識の無い人間に商品を販売する、そんな感じです。商品を理解していない人が選ぶわけですから、くじで商品を選ぶのと大して変わらないでしょう。もっとも、投資のプロが選んだからと言っていい成績になるわけでもないらしいですが。

 頭がいい人なら少し勉強すればすんなり金融商品を理解でき、顧客の金融知識や資産構成に応じてふさわしい提案もできるのでしょう。でも、少なくとも私には難しいですね。目論見書とか読んでも頭の中が?だらけになります。勿論それらしい理由をつけて推奨することは出来るでしょうが、推奨する根拠を誰にでも明確に分かるように説明する事は出来ないでしょうね。

 

 

 金融について勉強していくと、必ず自社が取り扱っている商品よりいいものが見つかります。いったんそれを知ってしまうと誰かに相談されたときに他者の商品を進めたくなる時があります。でも、そうすると自分が勤めている企業を裏切ったような気分になります。でも、逆に自社の商品を進めると相談してくれた人をだましたような気になります。

 

 長らく金融関係の仕事をしている人だと、「そんなのきれいごとでしょ」と言うかもしれませんが、私は少しでもきれいでいたい、あえて汚い事はしたくないと思います。

 そういう点では、本書で紹介されているバンガードや、手数料率を開示して営業しているライフネット生命なんかは好感が持てるのです。ああ、顧客と企業の利益をできるだけ=に近づけようとしているんだな、と感じます。