UCLA Anderson MBA留学記 

MBAのこと、LA生活や趣味のこと、地元山陰のことetc

高田創他 『2020年 消える金融』 日本経済新聞社

   マイナス金利導入が日本の金融機関の経営にどのような影響を与えうるのかを分析し、今後予測される利益の減少にどうやって対応すべきか、解決策を提案するという内容の本です。

 金融機関で働いている人達にとっては非常にホットな話題ですね。

 

 

2020年 消える金融

2020年 消える金融

 

 

 日本の金融機関は貸出金利が低下の一途を辿っており、国債運用でも今後暫くは利益が望めない状態で、新たな収益の機会を求めて試行錯誤しています。

 

 しかしながら、比較的金利が高い個人ローンの促進、アパートローンの促進、リスク性が高い金融商品の購入などは金融庁から懸念の声が出ており、どこの金融機関もジレンマに陥っている感じです。

 

 

  分析の中に、日本と欧州やアメリカの金融機関の違いについて触れられている箇所がありました。欧州でもマイナス金利が導入されましたが、金融機関の経営に与えた影響は日本と異なるようです。

 

 預貸金利差(銀行がお金を貸し出す時の利率と、預金に対して銀行が支払う金利の差)は欧州が2.5%程度に対して、日本は1.5%を下回る程度とかなりの差があります。どちらの地域も金利差は減少傾向にあるのですが、日本の方が早いペースで減少しています。欧州は預金に対する金利が日本より高かったので、そちらを低下させる事でここまでしのいできた、という説明があったと思います。日本は預金に対する金利なんてゼロに等しいですからね、マイナスにしない限り金利差を改善する事は出来ないわけです。

 

   金融機関に勤める人間としては素人感丸出しな疑問かも知れませんが、そもそもマイナス金利導入が貸出金利の低下に与える影響ってそんなに大きいのでしょうか?マイナス金利といっても、各金融機関が日銀当座預金に預けているお金全てに対して適用されるわけではありません。マイナス金利導入以前から預け入れられていた部分には通用通り付利され、新たに預け入れられた部分に対してのみマイナス金利が適用されます。

 

   マイナス金利導入以前から、日本の金融機関の貸出金利はアメリカなどと比べてかなり低かったはずです。とすると、貸出金利低下の主原因は別にあったんじゃないか、と思うわけです。

 

   「日本には金融機関がありすぎる。多すぎるから競争が激化して金利が下がるんだ」という主張をよく目にします。これは本当でしょうか?私がちょろっと調べたところ、日本には銀行(信金なども含める)が1,200ほどに対してアメリカはざっと5,200程あるようです。人口はアメリカが日本の2.5倍足らずに対して、銀行数はアメリカが日本の4.5倍程度あるわけですから、この数字を見る限りにおいては必ずしも日本に銀行が多すぎる、だから金利競争が激しくなったとは言い切れないと思うわけです。

 

   根本的な原因はそこでは無くて、実はお金を借りる側にあるんじゃないのか?(原因があるかも知れないといっているだけで、悪いといっているわけでは無いです)と思ったりするわけです。

 

   金利に関する私の疑問はこのくらいにしておきまして…

 

 

   こうした厳しい経営環境から脱却する方法として、本の中では

 

デットファイナンス(融資)に加えてエクイティファイナンス(投資)にも乗り出して、企業の資金調達に関わる機会を増やす。

②行員が経営者の視点を持つとともに、顧客である企業の経営者育成に努め、事業拡大を後押し、資金ニーズ拡大を図る。

③情報網を活かして地域金融機関が地域商社化、事業創出に取り組み資金提供をする。

 

   といった事が提案されていました。①に関しては、既に取り組んでいる金融機関も多いですね。ただ、投資は融資と比べてリスクが大きいので、各行様子を見ながらちょっとずつ試しているといった感じです。

 

   ②と③については全くその通りだと思いました。資金需要を増やす為にはそもそも金融機関も一緒になって事業を創出していく必要がありますし、その為には一人一人の銀行員が経営者として考えないといけない。

 

   ただ、実現させる為には今のままでは無理なんじゃ無いかと思います。経営者としての視点を得る為には、実際に商売をやって見るしか無いのでは無いかと。本を読んで勉強したり、経営者にあって話を聞いたりすることはいくらでもできますけど、実際に経営して見ないと分からない事って沢山あると思うんです。

 

   野球もそうで、本や動画を見て研究したり、プロの話を聞いて勉強することは可能です。でも、自分が選手として上達する為には、やっぱり自分でプレーするしか無い。プレーしない限り、頭の中の理解と実際の動きのギャップが埋まることはないんです。

 

   行員を企業に派遣してノウハウを身に付けさせるってのもいいですけど、やっぱり実際に商売をしてみるって事に勝るものは無いでしょうね。