UCLA Anderson MBA留学記 

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金融機関の人員削減ニュースに思う事

最近、大手金融機関が相次いで人員削減目標を発表しました。三菱UFJは1万人近くの人員削減を、みずほ銀行も今後10年間で1万9千人分の業務量を削減するとの事でした。

 

他業界で言えば、UBERの普及や自動運転の実現によってタクシー業界に携わる人の職が失われる、という声も聞きます。

 

金融・交通に限らず、様々な業界でITの普及による人間の仕事の代替が起きつつある、というのが分かります。

 

こういうニュースが流れると、ほぼ確実に

 

「機械によって人間の仕事が失われるのは良くない。」

 

「新しいサービスの普及を抑制してでも雇用を確保するべきだ。」

 

という意見が出ます。

 

果たしてこれは本当だろうか?と思うわけです。

 

最近はテクノロジー関連の話題が多いですが、人間の雇用が奪われるという事は過去にも幾度となく起こってきたわけです。

 

例えば、自動車の普及は馬車や徒歩での移動を格段に便利にしました。

 

旅客飛行機の普及は大陸を隔てての移動時間を大幅に短縮しました。

 

重機の発展は、ハンマーやつるはしによる地道な労働を圧倒的に効率化しました。

 

こういった技術の革新が起こるたびに、古い仕事に従事してきた人間の職が失われたであろうと想像するのは難しくありません。

 

以前との大きな違いは、以前は産業機器の発展が人間の身体的能力を代替してきたわけですが、近年のIT技術の発展は人間の知的能力の代替を可能にしている、という事です。

 

多くの人の仕事が失われたかも知れませんが、それは同時に人類の生活を確実に便利なものにしてきたはずです。

 

私個人としては、リスクを上回る利便性がある限り、新しい技術は確実に発展していくと思います。

 

 

 

何事にもリスクはつきものです。車に乗れば最悪の場合命を落とします。飛行機にしてもそれは同じです。実際に、過去に多くの人が自動車や飛行機の事故で命を落としてきました。

 

では、こういった事故があったからといって

 

「車を使うのは命の危険があるからこれからは徒歩で移動しよう」

 

とか、

 

「飛行機は車以上に危険だ。何かあったら命が助かる可能性は非常に低い。これからは船で移動すべきだ」

 

などと思う人がどれだけいるでしょうか?おそらくほぼ皆無でしょう。

 

やはり、「リスクを上回る利便性がある限り、新しい技術は確実に発展していく」のです。

 

リスクに過剰に反応して以前の不便な生活に戻るくらいなら、リスクを許容してより便利な生活の実現を望むのです。

 

 

金融業に関していえば、

 

「全てを機械に任せてしまうと詐欺や機械の不具合によって金銭的不利益を被る可能性があるから危険だ」

 

という意見がつきものですが、これも長期的に見れば大した問題では無いと思います。

 

車や飛行機の例と同様に、ひとたびリスクを上回る利便性を感じれば、利用者たちは現金でなく電子決済を、人間の判断による投資判断ではなくAIによる判断を専ら利用するようになるでしょう。

 

10年後になるか20年後になるかは分かりませんが、いずれそれは確実に実現される、そう思います。

 

今現在、とりわけ日本において現金決済が無くならないのは利便性よりもリスクが勝っているからかも知れません。

 

でも、このリスクと利便性のバランスは時間の経過とともに確実にリバランスされるはずです。

 

そしてひとたびリバランスされれば、金融業の無人化は加速する。私はそう思っています。

 

 

技術の発展によって人間の仕事が奪われる、それは私のような金融業に従事する者にとっては脅威です。

 

しかしながら、大きな歴史の流れを変える事は出来ません。それならば、いっそのことその流れの中に身を置いて、来るべき次の波を予想して、その波に乗っかるべく準備しておく、その方が賢明ではないでしょうか。

 

ある職業が奪われるのは、従事する人間にとってはとても辛いものです。でも、発想を逆転させて考えれば、それはこれまでになかった新しい職の誕生をもたらす良い機会かもしれません。

 

ですから、人間の仕事が失われるのは必ずしも悪い事では無い、私はそう思っています。良くも悪くもなりうるが、それはその出来事に対してどう備えて、どう行動するかに懸かっている、そう思うわけです。

 

 

最近は、これから10年後・20年後の金融、とりわけ地域金融はどのような姿になっているのだろうか?という思いが頭から離れません。

 

そしてそんな環境の中で自分自身に出来る事は何だろうか?と考えます。

 

「おそらくこうするしかないな」というぼんやりした考えはあります。卒業までに、もう少しはっきりしたものにしたいです。

 

 

昔、会社の偉い人に

 

「お前ひとりでは何も出来ないんだから、『自分なんて何にも力になれません』と言っとけ」

 

と叱られたことがありますが、

 

むしろ何かを変えるのはたった一人の人間の思いからだろうと思うので、地道に自分に出来る事をやりたいですね。