田舎者×MBA=?? 田舎の銀行員日記

いつか誰かの役に立つかも、と思い英語学習やMBA受験等の記録を残しています。

社費留学のMBAの目的は?

日本や韓国では社費留学でMBAに通う学生が多いですが、一般的には社費でMBAを取得するのは少数派です。

 

よく「社費留学の目的って何?」、「MBAで学んだことを派遣元でどう活かすの?」と聞かれるので、それに対する私なりの解釈を書き残しておこうと思います。

 

結論から言うと、日本企業が社費で社員を派遣してMBAを取得させる目的は、企業自身もはっきりわかっていないと思います。

 

一応名目上「MBAで得た人脈を業務で生かす」とか「海外でビジネスするうえで必要な語学力、知識を身につける」とか言っていますが、本当のところは手探り状態で、どう生かしていけばよいか未だに分からないんじゃないでしょうか。

 

過去MBAが流行った時に見よう見まねで自社でも採用してみたものの、現在ではその名残で続けているだけ、そういう企業も多いかと思います。

 

人脈構築や海外でビジネスするための準備が目的であれば、別にMBAでなくてもいいはずです。あえて高い授業料を捻出しなくても、別の方法でこれらの目的は達成可能です。

 

MBA派遣制度が投資に見合うだけの効果をもたらしているのか、これを測る指標が曖昧なのだと思います。

 

 

一方アメリカではほとんどの学生が私費でMBAを取得していまして、MBAを取得する目的もはっきりしています。

 

まず、キャリアチェンジのためという事です。日本と違って、アメリカではジョブローテーションというものが余りありません。ある部署に配置されると、基本的にはその部署でずっとキャリアを積むことになります。

 

「暫くマーケティングをやってきたが、自分はファイナンスに携わりたい」と思っても、ファイナンスについての経験が無ければ実現するのは難しいようです。

 

日本の企業だと、長年営業に携わってきたのに、いきなりシステム部に配置されて一からやっていかなくてはいけないなんてことがあります。これはアメリカではめったにないようです。

 

誰にでも分かるような客観的な事実として、業務に関わる経験があることが求められるのです。だからMBAファイナンスを専攻した、夏に投資銀行で2か月間インターンをしたという事が役に立ちます。

 

 

もうひとつは、先日橘玲さんの本を紹介した時にも触れましたが、昇進や待遇の向上のためという事です。

toshihisa1527.hatenablog.com

 アメリカでは年齢、性別、人種や宗教によって差別する事が禁止されているため、昇進や昇給を決める基準は①仕事の成果、②学歴や資格、③仕事の経験の3つしかないという事でした。

 

アメリカでは、MBAを取得した人物にはそれなりの報酬とキャリアパスを提供します。その人の実力に関わらず、ある程度学歴で待遇が上がるのですから、高い授業料を払ってでもMBAを取得するわけです。

 

日本企業でMBA取得者に特別な待遇を認めているところは少ないです。楽天位でしょうか。だから日本人のMBA取得者の多数が海外での就職や外資系企業の日本法人を転職先として希望するわけです。

 

 

こうして考えてみると、そもそも企業文化が全く違うので、アメリカと比べてみたところであまり意味がありません。

 

現状MBAの社費留学を定める一番の効果は新卒採用の際に学生達を呼び込む材料になる事では無いかと感じています。

 

海外に行ってみたいとか留学してMBAを取得したいが、自分で借金してまで行く気はない。いったん就職したのに、借金を背負ってまで留学するのはリスクが高い。

 

そう思っている学生は一定数いるはずです。そういった学生にとって、企業の支援の下でMBA留学できるのは魅力的です。私自身も似たような理由で今の企業を選びました。もしMBA派遣制度が無ければ、エントリーすらしていなかったと思います。

 

そう考えると、MBA派遣制度を用意する事で本来採用できる可能性が無かった学生を呼び込めるのですから、企業にとってメリットがある・・・かも知れません。断定できないのは、MBAを取りたいと思う学生が企業に利益をもたらすかどうかは分からないからです。

 

 

 

ここから話が脱線しますが、もちろん社費でMBA留学しても、卒業後にすぐ転職する人がいます。

 

「会社のお金を使って留学しておきながら辞めるなんてとんでもない裏切り者だ」

 

こういって批判する人も多いわけですが、この批判は果たして妥当なのだろうか?と疑問に思うことがあります。

 

私としては、「お金」か「会社への忠誠心」のどちらか、または両方が理由でこうした批判が出るものと思います。

 

もしもお金が問題という事であれば、MBA取得者が会社に残れば留学費用という投資がペイするが、社外に出てしまえば投資が無駄になる、そう考えているかと思います。

 

でも、これって一概には言えないはずです。例えば、MBA取得後に地方銀行を辞めた人間がその後地方銀行が営業するエリアで事業を立ち上げて、社員100人を擁する企業に育て上げたとしましょう。企業が成長する過程でほぼ必ず資金が必要になりますから、そこで銀行が融資をすれば利息として収入が生まれます。

 

また、新たに創出された雇用者がその銀行と取引すれば、そこから銀行への利益も生まれるはずです。100人中30人でもMBA取得者がもといた銀行から住宅ローンを借りれば、利息収入はかなりの金額になります。

 

社員一人をMBA留学に派遣するのに必要な資金は、2年間の学費、給与、生活費(補助があれば)の3,000万円位でしょうか(給与額によっては大きく変わります)。

 

これくらいの金額ならば、MBA取得者が辞めたとしても十分おつりがくるほどの利益を得る事ができるはずです。

 

一方、社内にとどまれば投資した金額がペイするかというと、これも定かではありません。

 

普通会社員は給与以上の利益を会社にもたらしているわけですが、もちろん中には給与に見合うだけの利益を上げられない社員がいます。

 

もしMBAに派遣した社員がこの利益に貢献しない人間だとすると、会社は投資をした上にその後も損失を垂れ流し続けるわけです。まあ、そんな人は滅多にいないと思いますけども。

 

大体の企業は卒業後5年以内に会社を辞めたら留学費用を会社に返金するという規定を設けています。昔国費派遣の人が卒業後すぐに辞めて問題になり、国が5年と定めたのが始まりだったと記憶していますが、この5年という数字にどれだけ妥当性があるのかもはっきりしません。

 

金銭的な面から考えて、社費でMBA取得した人がすぐ辞めるのが問題なのかどうかは一概に言えないと感じます。

 

 

そして侍がいた時代のような御恩と奉公の関係を理由に批判するのも、今一つ納得いきません。

 

企業への忠誠心という観点から一つの企業で働き続ける事が重要であるとするのなら、その理由を問わず“会社を辞める”という事が問題になるはずです。

 

実際のところ転職は日本でも頻繁にある事ですし、多くの企業が中途採用制度を設けているはずです。もし「お世話になっている企業を捨てて他社に行くのは裏切りだ!」と言っている人がいて、その人が働いている企業が中途採用制度を設けていたとすると、自分の信条に反する経営方針を取る企業に忠誠を尽くしているというおかしなことになります。

 

また、そういう人がユニクロの服なんかを買っていたら、それもまた言ってることとやってることがおかしいわけです(ユニクロの柳井さんは元々ジャスコで働いていました)。

 

こんな人に批判されても、「なんだかなー」と思ってしまいます。

 

 

 

長くなりました。「お前絶対辞めるなよ」と言われるたびにその理由を問いただしたくなるわけですが、無駄に相手の気持ちを逆撫でるだけかと思って何も言いません。辞めるつもりもないので、そこもご心配なく。

 

 

MBA企業派遣の目的がしっかりしていて、MBA取得者のキャリアパスについて明確な方針がしっかりしている日系企業があれば知りたいものです。