UCLAでMBA取った銀行員のその後 

MBA取得に至るまでの記録を残しています。今はマーケティング中心に綴っています。

読書感想 出口治明著『「働き方」の教科書』新潮社 

本をよく読む方だと思いますが、どんなにたくさん本を読んでも、そこで手に入れた知識なり見識なりを自分の人生に活かすことができて初めて意味があるのだろうと思います。

 

本を読んで「勉強になった」、「目からうろこ」と言って見ても、その後自分の行動が変わらなければ時間の無駄、自己満足にすぎないですね。

 

「働き方」の教科書―人生と仕事とお金の基本―(新潮文庫)

この著者の事はかなり前から知っていました。とはいっても、最初から彼に注目していたのではなく、間接的に知ったのですが。

 

大学生の頃にMBA留学を意識するようになり、岩瀬大輔という人物の『ハーバード

MBA留学記』を読みました。

 

ハーバードMBA留学記 資本主義の士官学校にて

ハーバードMBA留学記 資本主義の士官学校にて

 

MBA留学中に考えた事をブログに書いていて、それを本としてまとめたとても面白い日記でした。私のこのブログと比べると、自分のしょぼい文章に恥ずかしくなる位です。

 

で、その岩瀬大輔さんがMBA取得後にライフネット生命というネット専業の保険会社を立ち上げていたのでその関連の本も読んだいたところ、彼と一緒に起業に携わったのが出口治明さんと知ったわけです。

 

 この二人が出した本を数冊ずつ読んだことがありますが、どれも面白い本でした。

 

生命保険のカラクリ (文春新書)

生命保険のカラクリ (文春新書)

 

 

たまたま、アマゾンのkindleで『「働き方」の教科書」を目にしたので、買って読んでみたところです。

 

本の内容

 

題名に働き方の教科書とあるように、著者が自分自身の経験をもとに、20代、30代・40代、そして50代と年代別に読者に向けて伝えたい事を綴った本でした。

 

20代は自分でやる仕事のやり方を覚える。

 

30代は人を使いながらチームで仕事をする事を覚える。

 

40代では組織を率いていく事を覚える。

 

そして50代では次の世界を担う若い世代に何をバトンタッチするのかを真剣に考える。

 

こういった事を中心に語りながら、今後の社会はどのようになるか、どのような社会にしていきたいかという事まで触れています。

 

 

感じた事

3か所、とても印象に残った文章がありました。

 

1.人生を無駄にする3つの行動

最近よく思うのは、人生を無駄にする三つの行動です。

「済んだことに愚痴を言う」

「人を羨ましいと思う」

「人によく思われたいと思う」

人生を無駄にしても良いと考える人は、この三つを是非やってください。無駄にしたくない人は避けて頂きたいのですが、人間は三番目に書いた「人に良く思われたいと思う」ことから逃れるのが最も難しいのです。なぜなら、人間は虚栄心が強く、プライド、自意識ともに過剰な生き物だからです。人に良く思われたいと思えば、失敗する姿を人に見せたくないと考え、チャレンジをしなくなっていきます。やがて八方美人的にふるまうようになり、結局のところ自分の思いと行動が乖離していくので、それが自分を苦しめる事になります。

 

私もやはりプライドがあって、その為に人生を大いに無駄にしてきたと思います。

 

「少し目を離すとフラッと海外にでも行ってしまう」なんて言われて、随分とフットワークが軽い、行動力があるかのように思われることがありますが、実際はむしろ逆で、あれこれと考えすぎる人生を無駄にしがちな性格だと思っています。

 

例えば英語を上達させようと思ったらどんどん他人とコミュニケーションをとるなりガンガン発言をするなりしていった方が良いです。数えきれないくらいの失敗をするでしょうが、失敗するたびに自分の誤りに気付くことができるはずですし、英語力がどんどん向上するはずです。

 

でも、「何かいいことを言わないといけない」とか「変な事を言って周りの人間にバカにされるのが恥ずかしい」とか思ってしまって行動しないとその分成長が遅くなるんですよね。

 

プライドが無い人は素直で、なんでもスポンジのように吸収していくので、とても成長が早いなと感じます。

 

その一方、中途半端なプライドがあると自分にコーティングをしてしまって、本来吸収すべきものを防水性の傘のようにはじいてしまうのです。

 

MBA留学をして、自分よりはるかに優れた人達に囲まれた環境で過ごすようになりました。自分の中のプライドがスーッと消えていく感じでした。そんな環境でプライドなんて持っていてもやっていけないので、失敗とかもうどうでもいいから、とりあえずやってみてダメなら後で直そう、という心持ちに変わってきました。

 

ただ、これはMBAという場に限定した話ではありません。ごくごく限られた範囲でしか生きた事が無い私ですから、本当は知らない事ばかりなわけです。どんな人物からも学べることはあります。そこで変なプライドが邪魔して聞くべきことが聞けなかったりするのは本当にもったいない事です。

 

時々、ふと「自分は何か大きな失敗をしたことがあっただろうか?」と考えるのですが、大して思いつくことがありません。

 

たぶんプライドや過剰な自意識が邪魔して「出来るか分からないような事」に挑戦するのをためらって生きてきた証でしょう。「出来そうな事しかやらない」、「達成のめどが立ったのを確認して行動に移す」そんなことばっかやってる人生、楽しくないですよね。

 

より積極的に自分の殻から出ていくこと、プライドさえ気にしなければ世界は新しい発見・学びにあふれているということ、こういう事を意識して行動していこうと思います。

 

2.仕事について

また、人生において仕事に費やす時間はおそよ3割程度だとしたうえで、職場での人間関係に悩む人が多い今の日本の状況に、

誤解を恐れずに言えば、人生の三割しかない仕事は「どうでもいいこと」です。仕事をするうえでは、この「どうでもいいこと」だという認識が大切です。ところが、世の中の多くんビジネスパーソンは「仕事が人生のすべて」だと錯覚しています。

仕事は「どうでもいいこと」だと思っていれば、人生のたった三割の時間を過ごす仕事での人間関係で悩む必要なとなくなるのです。

と述べています。

 

私も上手くいかないことがあると当然気分が落ち込みます。そんな時深刻に考えすぎていても前に進まないので、「まあどうにかなるだろ」と考えるようにしています。自分が抱えている問題なんて、実は大したことないと自分に言い聞かせる感じです。

 

誤解を恐れずに言うと、人間ひとりの人生なんて大したことないと感じることがあります(だからといって、大切でないと言っているわけではありません)。地球上にある数えきれないほどの生命の一つにしかすぎないのですから。

 

宇宙規模で考えればもはやないに等しい。そんなちっぽけな自分が偉そうに唸ってみたところで世界は何も変わりません。

 

だから、自分の人生自体が壮大な遊びだと思って、時には都合がいいように解釈する事も必要だと思います。

 

1つ誤解の無いように言っておきたいのですが、遊び=真剣でないという事ではありません。いたって真剣に遊んでいます。「楽しむ」という要素が加わっただけです。どうせうまくいかないことがあるのなら、それすらも楽しんだ方が良いですから。

 

3.日本の教育

 これまでの日本の教育は、何も考えずに黙って働く市民を育てる事には役立ってきました。しかしこれからは、自分のアタマで考える人間をつくらなければなりません。そのためには教育を変える必要があります。まず手をつけるべきは大学です。大学が変われば大学を目指す高校も変わり、高校が変われば中学校が変わり、中学校が変われば小学校も変わるはずです。

大学をどのように変えればいいのかは明白です。どのような分野でもいいので、まず学生に必死に勉強させて、その中で学生に必死に考えさせる大学をつくるのです。

 

この文章を読んだ時、刈谷剛彦という社会学者の『知的複眼思考法』を思い出しました。

日本の教育は「グライダー型の人間」を育成する事には長けているが、エンジンをもって自分で飛ぶ事ができる飛行機型の人間を育てるのは苦手。そんなことが書いてあったと記憶しています。

 

グライダーが飛ぶためには、引っ張ってくれる別の「曳航機」と呼ばれる飛行機が必要です。自分の力だけでは飛べないんです。自分で考える事ができない人間、それをグライダーに例えたものです。

 

よく言われることですが、かつてはアメリカというお手本があったために、それに追いつけ追い越せで。そんなに自分で考えなくても、お手本に沿ってまじめに働いていれば、それだけで生活が向上する環境でした。

 

だから、学校でも言われたことを素直に聞くまじめな人間に教育しておけばよかったわけです。課題や試験が課されて、正しい答えを覚えて答える。こういった能力に長けて人物が評価されました。

 

仕事も同じです。上が指示した事を、淡々とやっていればそれなりに成果が出ました。

 

ところが、現在はお手本とするべきものが無いので自分で正解を探さなければいけません。でも、これまでさんざん正解がどこかにあるものだと教え込まれてきた人間は、どこかに正解があるものだ、答えは誰かが教えてくれるものだと思っていますので、自分の脳みそで考えようとしません。

 

こういう人間を作り出しているのは教育ですので、そこが変わらないかぎり自分で考える人がなかなか生まれてこない、というわけです。

 

私自身、(一時期を除いて)非常に素直な生徒だったと思います。ほとんど手のかからない。グライダーとしてはかなりの一級品だったはずです。でも、だんだんと「あれ、これでいいのか?いや、このままじゃダメだな」と思い始め、自分で飛ぶためにはどうすればいいのかと考えるようになりました。

 

長い間高性能のグライダーとして?生きてきたわけですから、そう簡単には買われません。今、少しずつエンジンを仕込んでいるといったところです。

 

 

自分の生き方についてあれこれ考える機会をくれた、面白い本でした。