田舎者×MBA=?? 田舎の銀行員日記

いつか誰かの役に立つかも、と思い英語学習やMBA受験等の記録を残しています。

UCLA MBA選択科目 Hedge Funds

先程まで題名にあるMBAの授業、「Hedge Funds」の試験をしていました。試験と言ってもテイクホーム試験といわれる自宅で、PCを使っても良いですし本やインターネットで調べながらやっても良いです。

 

調べ放題なら簡単だと思うかもしれませんが、そんなことはありません。正直日本語でやっても全部理解できないような内容だったので、英語では尚更理解度が低いのです。

 

テイクホームの試験は時間に限りが無いので(何日の何時までに提出というざっくりした決まりしかない)、下手すると何時間も費やしてしまいます。ある程度までは時間をかければ解けるのですが、残りの数問は時間をかけても解けるかどうかわからないような問題です。

 

かける時間のわりに得られるものが少なそうなので、適当なところで切り上げました。それでも4時間ほど費やしましたが。

 

アセットマネジメント会社で働いていた同級生は「余裕」と言っていたので、単純に私の勉強不足、という可能性は十分ありますね・・・。

 

授業概要

ヘッジファンドと言われる組織がどのようにして利益を稼ぎ出しているのか、どんな戦略を用いているのかといった基本的な事を、レクチャーとケーススタディを通して学ぶものです。

 

実際に学校のお金を動かして投資をするようなプログラムもあるのですが、競争率が高い選抜で選ばれた少数の学生しか履修する事ができません。

 

この授業は夜7~10時と遅い時間に行われます。UCLAMBAプログラムにはFTMBA(Full Time MBA)、FEMBA(Fully Employed MBA)、EMBA(Exective MBA)という複数のプログラムがあります。

 

FTMBAが仕事から完全に離れて2年間学ぶプログラムなのに対して、FEMBAの学生は仕事をしながら3年間かけて修了を目指します。平日の日中は当然仕事をしていますので、夜間や週末に開講されている授業に出席します。

 

夜間や週末の授業は基本的にFEMBAの学生向けのものですが、席に余裕があればFTMBAの学生も履修する事ができます。

 

 

授業内容

ざっくりと、授業で扱った内容は以下の通りです。

  • Overview
  • Performance Measurement(リスクやリターンの測り方、手数料についてなど)
  • Equity strategy(株式市場での投資戦略、具体的手法)
  • Value & Momentum(割安株、株式市場のトレンドに乗っかった投資戦略)
  • Fixed Income(債権市場での投資戦略、具体的手法)
  • Global Macro Investing(世界経済の分析に基づき株式、債券、為替市場などで投資するもの)

 

使用した教材は以下のものです。 

Efficiently Inefficient: How Smart Money Invests and Market Prices Are Determined

Efficiently Inefficient: How Smart Money Invests and Market Prices Are Determined

 

 

ヘッジファンドは市場全体の動きに関わらず、市場の非効率を探し出して利益を出そうとします。

 

株を買って保有している場合、市場が上昇している局面(日経平均がぐんぐん上がっているような時)では利益が出ますが、下落局面(日経平均がぐんぐん下がっている時)では損失が増えていきます。

 

例え市場全体が下落していても、投資の機会を見つけて利益を上げていこうというのがヘッジファンドです。

 

 

ロング・ショート戦略というものを、授業で扱ったケースを基に紹介します。

 

ロングは普通に株式を買う事です。証券会社なんかで口座を作って、自分で株を買うのと一緒です。ショートとは空売りとも呼ばれ、株価が下がる時に利益を得ようとすることです。

 

 

例えば今アオダモ(有名な野球のバットの素材です)のバットが1万円で売買されているとしましょう。

 

あなたは、「これからはアオダモではなくメープル(こちらもバットの素材として使われます)のバットの時代だ!」と思っていて、今後バットの価格は5千円まで下がると予想していますが、自分ではバットを持っていません。

 

そこで、友人Aに「ちょっと1ヶ月間そのバット貸してよ」と言ってアオダモのバットを借りてきます。

 

で、この借り物のバットをすぐに1万円で別の友人Bに売ります。そうすると自分の手元には1万円が転がり込みます。そして後はアオダモのバットが安くなるのをひたすら待ちます。

 

もし1ヶ月以内に、思い通りにアオダモのバットが5千円になったら、5千円で買ってもともと借りていた友人Aに「ありがとう」と言って返します。

 

このやりとりで、あなたは借りたバットを売って1万円手にし、そのあと5千円払って同じバットを買い戻しました。何もないところから5千円の利益を手にしたわけです。

 

これがショートの戦略です。

 

ただ、これは自分の思惑と逆方向に価格が動くと損します。

 

大谷翔平が「やっぱりバットはアオダモに限りますね」なんて言ってアオダモ人気が高まり、価格が1万5千円に跳ね上がれば、あなたは1万5千円でバットを買い戻さなくてはならず、トータルで5千円損します。

 

【ケース】

カンパニーAの中にBという事業部門があったのですが、この部門は将来性があるにも関わらず今ひとつ市場で評価されていない(A社の株式がBの事業の可能性を反映していない。株価が低すぎる)と考え、Bを独立の会社として新規株式公開(IPO)することにしました。

 

Bは、まず発行した株式のうちの20%を公開する事にしました。残りの80%は、株式公開の6か月後にA社の株主に与えるとしました。以下はBの株式公開前(9月30日)の財務諸表です。

 

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*値は1,000単位

 

この財務情報の他に与えられたのは、以下の通りAとBの発行済み株式数と12月9日の株価のみです。B社の株式公開は12月3日に行われました。

 

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 この情報を基に、自分がヘッジファンドを運営していたらどのように投資するの?という事を問われます。

 

これだけの情報で何かわかる?という感じですが、ヒントはあります。

 

B社の株式の残り80%が、今後A社の株主に与えられるというところがミソです。今B社の市場価値(株価に発行済株式数をかけたもの)は$326,429,387です。この80%は$261,143,510となります。

 

ここで、この$261,143,510とA社の市場価値を比べてみます。

$232,930,493 < $261,143,510

これ、おかしいんです。

 

もし今後A社の株主にB社の株式の残り80%が割り当てられるとすると、A社の株価はこのB社の80%を反映していないといけないはずです。

 

でも、A社の市場価値はB社の市場価値の80%よりも低い。これではまるでA社自体の株はマイナス、と言っているようなものです。

 

株価がマイナスになるという事はあり得ない、という事はA社の株が低く評価されている(A株が安すぎる)か、B社の株が過大に評価されている(B株が高すぎる)という事になります。

 

だから、市場に非効率がある=利益を出すチャンスがある、という事になるのです。ここでの戦略は、A株のロングとB株のショートです。この戦略だと、A株が上昇するかもしくはB株が下落する事でヘッジファンドは利益を得る事ができます。

 

ケースではここからさらに「ではロングとショートをどのような比率で組み合わせるのか」、「この投資戦略において注意しなければならない点は何か」といった所まで踏み込んでいくのですが、長くなりますのでこの辺りで止めておきます。

 

実はこの後A社の株が少し上昇する一方でB株はつまり、非効率の程度が拡大したわけです。もしも戦略通りに投資していれば、大きな損失を被ることになったわけです。

 

市場はいつか効率的と言えるところに落ち着くのですが、それがいつになるかは分からない、という事でした。ここにヘッジファンドの経営の難しさがあるわけですね。

 

かなり特殊な知識ですので、履修しているのは大抵金融関係で働いているFEMBAの学生、もしくは金融業界を目指すFTMBAの学生といった所です。数字が苦手な学生は、大抵マーケティング分野の授業に流れていく傾向がありますね。