UCLAでMBA取った銀行員のその後 

MBA取得に至るまでの記録を残しています。今はマーケティング中心に綴っています。

読書感想 エリック・シュミット他著『How Google Works』日本経済新聞出版社

最近意識して読書の感想を言葉にするようにしています。

 

頭の中にある事をいざ言葉にしようとすると、なかなか手が動かないものです。

 

また、少し前に読んだ本で「面白かったな」という印象があるものの、具体的な内容が思い出せないという事があります。

 

これは、読んだ気になっているだけで実はほとんど身になっていないのかなと。おそらく、読書というのは読む事それ自体よりも、そのあとに何を考えたかが重要なのだと思います。

 

「本当に自分が大事だと思った内容なら線を引いたり感想を書かなくても覚えているものだ。本当に大事な事ならいつか思い出す。メモを取ったり線を引いたりするのは時間の無駄だから、そんなことせずにどんどん本を読めばよい」という人もいます。

 

読む目的にもよりますが、私は自分の中で本の内容を咀嚼する時間が欲しいです。そのために、後から必要な部分を早く見つける為に線を引いたりしています。

 

また、これは好みの問題かもしれませんが、私は自分の中で「知っている事」を「理解している事」に変換させるためにも文字に起こしておくのが良いと思っています。

 

頭の中でなんとなくわかった気になっていても、アウトプットしようとしてうまくいかないようならそれは理解とは言えません。「理解したつもり」といった方が正しいでしょう。

 

最後にもう一つ、読書が趣味だと言いながら「読書をしている自分」に満足してしまっている人もいるのではないでしょうか。私も時々そのような状態に陥ることがあります。

 

読書はあくまでも手段であって、読書自体が目的になってはいけないと思う次第です。

 

How Google Works (ハウ・グーグル・ワークス)  ―私たちの働き方とマネジメント

How Google Works (ハウ・グーグル・ワークス)  ―私たちの働き方とマネジメント

How Google Works (ハウ・グーグル・ワークス) ―私たちの働き方とマネジメント

 

 

GoogleMBAの学生にも就職先として非常に人気がある企業です。Googleに応募した友人が、社員から勧められたとか言ってこの本を読んでいたので、私も買って読んでみ見ました。

 

本の内容

Googleの会長であるエリック・シュミットと2人の社員が、Googleがどのようにして現在の姿に成長して来たのかを語った本です。

 

Googleの人材の重要性に対する考え方、社員採用の方針、意思決定の注意点などが語られています。

 

本の感想

2点ほど、印象に残ったことを書いておきたいと思います。

 

まずは、Googleの事業計画に対する考え方です。

 

グーグル が 成功 し た 最大 の 理由 の 一つ は、 二 〇 〇 三年 の あの 日、 私 たち が 提出 し た〝 事業 計画〟 が、 じつは まったく 計画 らしく なかっ た こと に ある。 財務 予想 や 収入 源 に関する 議論 は 一切 なかっ た。 ユーザ、 広告主、 あるいは パートナー 企業 が 何 を 望ん で いる か、 それ が 市場 セグメント に どの よう に 当てはまる か といった 市場調査 も 行わ なかっ た。 市場 の セグメンテーション、 あるいは 最初 に ターゲット と す べき 広告主 といった 考え方 も なかっ た。 チャネル 戦略 も、 広告 プロダクト を どの よう に 売る か という 議論 も なし。 セールス 部門 は これ、 プロダクト 部門 は これ、 そして エンジニアリング 部門 の 仕事 は これ、 といった 組織 図 の 概念 も なかっ た。 何 を いつ までに つくる かを 詳細 に 記し た 製品 ロード マップ も なかっ た。 予算 も なし。 取締役会 や 経営 陣 が 進捗 状況 を 確認 する ため の 目標 や マイル ストーン といった もの も ない。

 

具体的な事業計画が無かった理由については、「どうやればいいか分からなかったから」と述べています。

 

MBAで起業に関する授業を取ったことがある方ならなんとなく分かるかも知れませんが、しっかりとした事業計画が無いというのは異常です。

 

今後数年間の財務予想を作成するのはもちろん、マーケットサイズやその中でどれくらいのスピードでどれだけのシェアを獲得していくのか、競合他社はどういった所があって、そこと比べた際に自社の長所・短所はなにか…などなどかなりのボリュームになる計画書を作成するのです。

 

そしてそれを投資家に見てもらって、彼らが投資するかどうか判断するのです。

 

ただ、実際にこういった書類を作ってみて感じたのは、「資料はいくらでも都合のいいように作り上げる事ができる」という事です。

 

例えば、財務予想を作成するにあたって、マーケットシェアを勘案した上でいつ黒字になるのかを考えてみたとします。

 

「この金額で商品を売るとして、マーケットシェアは年間何%拡大する。マーケット全体の大きさはこれくらいだから…計算すると黒字化は7年後になりそうだ。」

 

「7年後に黒字化では遅すぎる。投資家に訴える為にも、3年後には黒字化が見込めるようにするべきだ。」

 

「じゃあここの数字をいじって…よしできた。」

 

こんな感じで、どんどん自分たちの都合の良い計画書を作っていく事ができるわけです。ただ、当然のことながら計画書通りに事業が進むなんてことはありません。

 

投資家も計画書がそれほど信頼できるものでは無い事は分かっているはずです。それでも資金調達を目的とする起業家の殆どが事業計画を作っている事を考えると、Googleが異端な存在であったのだと思います。

 

この部分に限らず、セルゲイ・ブリンラリー・ペイジMBA保持者に価値を見出していない事を示すような記述があって、これはこれで面白いです。

 

 

もう一つ、キャリアの選択について言及している部分も面白かったので簡単に紹介します。

 

サーフィンに例えて、「業界はサーフィンをする場所、企業は波である」として最大かつ最高の波が来る場所を選択する事が重要だと述べています。

 

たとえ最初の波にうまく乗れなくても、次々と素晴らしい波が来る業界であればまだ希望はある。

 

しかしキャリアの出発点で間違った業界を選ぶと、成長機会が限られ他の企業への転職を考えても売りになるスキルが身につかないのだと。

 

「そりゃそうだ」と思うような内容かも知れません。ただ、個人的にはまだまだ企業のブランド的価値を重視して選んでいる人が多いのではないかと思います。

 

サーフィンをする場所全体を眺める事をせずに、たまたま目にした波に惹かれて選んでしまう。そんな感じでしょうか。

 

私は最初に働く企業を選ぶ事なんてくじ引きで決めるようなものだと思っていますので、場所選びなんてそんなに重要だとも思えないのですが。特に具体的にやりたい事もないのならなおさらです。

 

 

非常に短い期間で世界を代表する企業に成長したGoogleの内情を垣間見る事ができる面白い本でした。