銀行員のUCLA MBA留学ブログ 

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読書感想 『縮小ニッポンの衝撃』講談社現代新書

「景山君さ、これから銀行ってどうやって利益を出していくの?景山君はどうすればいいと思う?」

 

「今この質問に対する答えが無いならさ、景山君は個人としてこれからどうするの?」

 

先日こんな会話をしまして、銀行のこれからもさることながらそもそも将来の日本はどんな感じになるのだろうと思い、人口減少がもたらす悪影響に焦点を当てた本書を読みました。

 

縮小ニッポンの衝撃 (講談社現代新書)

 冒頭の言葉は、時々こちらでお会いする日本人の方に言われたものです。

 

彼自身外資系金融機関の日本の支店で20年以上働いた経験があり、今は家族でアメリカに移住して全くの別業界に従事しています。

 

彼はグリーンカードを取得しているので、アメリカに永住する権利を得ています。また、彼自身も永住するつもりでアメリカに来たと言っていました。

 

将来の日本の事を考えるとあまり希望が持てない。自分だけなら何とかなるかも知れないが、自分の子供が日本という国で生きていく事を考えると、日本という環境に行くことが申し訳ない。

 

そう考えて、かなりの覚悟をもってアメリカに来たとの事でした。

 

私に冒頭の質問をぶつけたのは、彼自身金融業に携わっていて既存の金融業が将来発展はおろか現在のビジネスを維持していく事すら困難だと感じていた事、金融庁の知り合いと話をしていても、監督省庁に勤める彼らですら皆明確なビジョンを持ち合わせていなかった事、こういった経験がある中で私が地方金融機関からの派遣でMBA留学していたと知ったものですから、一体どういう気で金融機関に勤めているのか気になったのだと思います。

 

今自分が銀行の経営層にいたら、どこに活路を求めるだろうか?という事を良く考えます。MBA留学の準備をしている段階から結構考えるテーマなんですが、正直なところこれだという答えはありません。

 

日本に数多くの金融機関があって、多くの人間が知恵を絞り合っても今のところこれといったビジョンが見えている機関は無いのですから、まあ当然の事ではあるのですが。

 

銀行の将来を考えていると、「そもそも私が勤める銀行が経営基盤を置く山陰地方は、将来も人間が住める環境にあるのだろうか?」という疑問も浮かんできます。

 

「今でも100万人以上の住民がいるんだから、将来もこの地域に住む人間はいるに決まっているだろう」とバカにされそうですが、私としてはその一見当たり前の意見に「本当にそうか?もしそうだとして、自分が爺さんになる頃、いったい山陰はどうなってるの?」と疑問を投げたいわけです。

 

 

タイトルにもある『縮小ニッポンの衝撃』という本ですが、これからの日本が直面する人口減少、高齢化、そして財政難という問題が人々の暮らしにどのように影響を与えるのか、それを考察するために日本各地で取材した結果をまとめています。

 

財政破綻した夕張市人口ピラミッドは、今から40年後の日本全体の人口ピラミッドに酷似しているらしいです。詳しくは本書に譲りますが、夕張市においては現在当たり前に受けられる行政サービスが提供困難になっているようです。

 

本を読むと分かったような気にはなるのですが、もう少し踏み込んで人口減少がもたらす影響をビジュアルでも確認できないだろうかと、試しに夕張市と私が勤める銀行が拠点を置く山陰の島根県鳥取県、そして東京都の人口ピラミッドを作ってみました。

 

世の中にはいろいろな予測データがありますが、経済予測や株価予測など精度が低いものも多いです。そんな中で人口予測についてはかなり制度が高いと言われています。この人口予測を前提に考えれば、ある程度将来の自分がクラス街や地域の様子がイメージできます。

 

人口予測のデータは国立社会保障・人口問題研究所というところが発表しています。下のリンクから簡単に手に入れる事ができます。

 

将来推計人口・世帯数 | 国立社会保障・人口問題研究所

 

以下は夕張市の2020年の人口ピラミッド及び人口の予測です。

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なお、

  • 高齢化率は総人口に占める65歳以上の人口の割合
  • 現役世代は20歳~64歳の人口

としました。

 

同様の調査票では現役世代を15歳以上としていることが多いと感じますが、10代の過半数はまだ学生でしょうし、22歳までは大学生として労働に携わっていない人も多いので、経済的に支えるという意味では20歳以上とした方がより現実を反映した数字になるのではないかと思いました。

 

 

下に島根県鳥取県、東京都の2020年と2040年の人口予測を基に作った人口ピラミッドを載せています。パット見たところ2040年までのデータしか取れなかったので、今から40年後、人口ピラミッドが現在の夕張市に酷似すると言われる時点での人口ピラミッドを作成する事は出来ませんでした。

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そして以下が東京都と山陰両県の、2020年及び2040年の人口予測です。

 

島根県

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鳥取県

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【東京都】

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まず人口ピラミッドですが、見比べると夕張市の人口構成がいかに特異なものか分かるかと思います。

 

で、2040年、私は50歳になっていてまだまだ現役バリバリで働かないといけない時、山陰両県では2020年と比べて23万人も人口が減ると予測されています。

 

東京は同期間に100万人減る予測なので絶対値としては大したこと無いと思うかもしれませんが、元々両県で120万人いたのが100万人を割り込むわけなので率としてはすごいです。県庁所在地の鳥取市松江市の現在の人口が20万人前後ですから、わずか20年の間に県庁所在地が丸ごと一つ吹っ飛ぶわけです。

 

高齢化率は両県で40%に迫る勢いです。現在の夕張市は50%を超えていてちょっと想像できないくらいですが、このペースであれば山陰が夕張と同じ状態になるのもそう遠くないのだと予想できます。

 

現役世代1人で高齢者を支えるというのも現実的では無いですね。今の制度が成り立たないのが目に見えています。遠くない未来、というか今すぐにでも税負担を増やすなどして

 

税負担を増やすとなると反対の声が出てくると思いますが、だからといって冒頭で触れた彼のように海外に活路を見出す国民がどれほどいるかと想像してみると、それほど多くは無いのかと思います。

 

というか、検討してみたところで実際に海外で働き口を得られる人材がどれほどいるのだろうか、という事です。海外に出るに出られない国民が大半だとすれば、国としてはまだ増税の余地はあるだろうと考えていてもおかしくはないでしょう。

 

 

ちょっと私自身考えがまとまっていなくて雑多な文章になりましたが、こんなことを考えながら銀行の将来と結び付けてみたりしています。

 

この状況をみて「いやいやまだ日本にも十分可能性はある、むしろ日本の将来は明るい」と思う人もいるでしょうし、「これはまずい。国外で生きる術を真剣に考えないと」と思う人もいるでしょう。

 

私としてはどっちのポジションを取っても良いと思います。一番よくないのは「よく分かんないから」といって投げ出してしまって、いざ自分の身に降りかかってきたときに他人や国のせいにしたりする事かと。

 

自分ができる事をやりもしないでおきながら、いざという時に周りのせいにする。それはダメでしょうと思うわけです。当事者は私も含めて国民一人一人なのですから、一人一人が考えたうえで自分の立ち位置を決めないといけないですね。

 

当事者意識って大事。