銀行員のUCLA MBA留学ブログ 

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選択科目 「Persuation & Influence」

MBAプログラム、今期は選択科目2科目と必修1科目を履修しています。

 

Andersonで人気の授業の一つ、Persuation & Influenceを紹介します。

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 Persuation & Influenceはかなり心理学に近い内容です。心理学をビジネスにどう応用していくか、というとイメージしやすいでしょうか。

 

 MBAプログラムではロジカルシンキングとかばっかり言ってる印象があるかも知れません。確かにプレゼンテーションをしたりするとき、自分の主張を支えるような根拠をいくつか示して、論理的に語ることが大事です。論理的思考能力の重要性は否定しません。

 

しかしながら、実際の人間の行動を観察してみると、ロジカルという言葉では到底説明できないようなものがたくさんあります。無意識のうちに自分の判断に影響を与える、いわば思考のクセみたいなものがあるのです。この思考のクセを理解している事で、誰かを説得したり他者に影響を与えたりするために役立てる事ができるのです。

 

分かりやすい例を挙げると、限定という言葉を使ったマーケティングがあります。「期間限定とかご当地限定というコピーを目にすると、無意識のうちにその商品を高く評価してしまうという事があります。限定という文字に惹かれて、本当はそこまで欲しくなかったのに買ってしまう。もしくは「半額セール!今月いっぱいまで」という期間限定のセールに惹かれて買ってしまう。こんな経験は無いでしょうか?これは、「希少性」という思考のクセを利用したものです。

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もうひとつ面白い実験があります。コピーをしたくて列を作って並んでいる人たちに、順版を譲ってもらいたい時に、どういう言葉でお願いすれば譲ってもらえる確率が上がるか検証したというものです。具体的な数字を覚えていませんが、単純に「先にコピーさせてもらえませんか?」と聞いた際にはごく少数の人しか譲ってくれなかったのに、「5分後に会議があってこの資料をコピーしないといけないので、先にコピーさせてもらえませんか?」と理由を添えてお願いした時には譲ってくれる確率がぐっと上がったのです。

 

面白いのはこの理由の部分で、どんなに些細な理由であっても譲ってくれる確率は増加しました。「コピーをしたいので、先にコピーさせてもらえませんか?」という意味が分からない理由であっても、です。どうやら聞き手は「~ので」という理由を表す単語に無意識に反応してしまう、との事でした。

 

 

ビジネスの例も挙げておきましょう。とあるアメリカのジャグジー付きバスタブを販売する企業がありました。安いものから非常に豪華な高級なバスタブまで取り扱っている企業です。その企業は売り上げ増加のための戦略を練っていたのですが、それにあまりたくさんのお金をかける事はできませんでした。新しい商品を導入したり、大々的にマーケティングをする事はできません。それでも、この企業は売り上げを50%以上増やすことに成功しました。

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その方法とは、値段が高いものから順番に紹介するという非常にシンプルなものです。それまでこの企業は安いものから順番に紹介するというセールス方針でした。そうすると、割と低価格の商品を選ぶ傾向にあったようです。逆に高いものから紹介すると、最高級のクオリティーの商品を基準にして比較するために、バスタブの機能はどんどん失われていくわけです。そうすると値段が高いものを選ぶ顧客が増えた、という事です。

 

もう1つ。フォルクスワーゲンがアメリカ市場にこれまで無かった最高級の車種を展開した際、残念ながらこの最高級クラスの車はヒットしませんでした。代わりに何が起こったか?2番目に高い車の売り上げがグンと伸びたのです。

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しばらくしてフォルクスワーゲンは最高級車の販売を取り止めました。今度はどうなったか?2番目に高い車の売り上げが減ってしまったんですね。

 

このフォルクスワーゲンの例は、たくさんの選択肢があると人は両極端にあるものを避けて中間のどれかを選ぶ傾向があるというクセに基づくものです。

 

ちょっと高いレストランでコースの価格が3段階になっていた場合、真ん中のやつを選びがちということは無いでしょうか?グレードの違う家電製品を見比べて、結局中間の価格帯のものを選んでしまうという事、無いでしょうか?それと一緒ですね。

 

思考のクセにはいくつかのパターンがあるので、それらを一通り学びながら、「自分があるケースの人物の立場だったらどのテクニックを使って交渉に臨むだろうか?」という事を考えます。時には倫理的に考えて適切かどうかが問題になる時もありますが、それに関して教授は「個人の判断に任せる」というスタンスです。

 

 

今週の授業は、主にCredibility(信頼性)についての話でした。

 

ビジネスシーンで誰か(上司や顧客)を説得したいと思った場合、どんなにアイデアが優れていても、根拠がしっかりしたものであっても、交渉が上手くいかない時があります。

 

理由はいくつか考えられますが、その一つに交渉に臨む人物の信頼性が築けていないからという事があります。この人物の話は聞くに値する、この人物が言う事には信ぴょう性があると思っているだけで、話の説得力はぐっと上がるのです。

 

人はどうしても会ってすぐの印象でフィルターをかけてしまう傾向があります。ですから、この癖を利用して自分自身の信頼性を高めるのです。

 

例えば名詞にたくさんの肩書があったり、尋ねたオフィスの家具がやたら高級なものであったり、はたまたメガネをかけているという非常に些細なものであったり・・・。

 

同じUCLAアンダーソンの教授の例を挙げていました。この教授の部屋には、棚に10個以上のトロフィーが飾ってあったそうです。教授の事を知らない人物が部屋に入った瞬間「良く分からないが、彼はすごい人物に違いない」と思った瞬間、彼対してポジティブなフィルターがかかるのです。このトロフィーが何のためのものかは関係ありません。トロフィーがある、という事実だけで十分効果があるのです(教授は「You think that he knows something about something!!」といってクラスの笑いを取っていました)。

 

クライアントとのミーティングの際にも、信頼性を高めるために工夫できることがあります。

 

初めて会うクライアントとミーティングをする場合、まず何から始めますか?おそらく、お互いの自己紹介をするのではないかと思います。

 

ここで一番やってはいけないのは、一人一人順番に紹介していく事だそうです。自分を紹介すると、

  • 自慢っぽくなって横柄に見える
  • 逆に横柄にならないようにと謙遜しすぎてしまう
  • 内容が客観的になりすぎて印象に残らない

という3大ミスにつながります。

 

この3つのミスを回避するために一番良いのは、別の人に自分を紹介してもらう事だそうです。他人が実績を披露しても横柄に見える事はありませんし、謙遜するという事もありません。また、他人から見た自分の印象になるので、他人の主観という点が加わり客観的になりすぎる事もありません。

 

この話を聞きながら、多くの人が自己紹介をしないといけない場面って他にないかなと考えていたんですが、「合コンで使えるんじゃないか!?」なんて思ったり。まあ、友人を払いのけてでも自分が良い人を見つけるんだ!と考えている人が多いと使えないかもしれませんが(笑)

 

 

たとえ自分がこういった心理的なテクニックを利用する機会が無いとしても、知っているだけで役に立つことはあります。自分が顧客で、誰かにこのテクニックを使われそうになった場合です。「あれ、これってどっかで読んだやつだな」と思えれば、冷静に状況を判断し、一歩引いた立場で考えられるはずです。

 

興味がある方は下の本を読んでみるとざっくりと理解できてよいと思います。

影響力の正体 説得のカラクリを心理学があばく

影響力の正体 説得のカラクリを心理学があばく