UCLAでMBA取った銀行員のその後 

MBA取得に至るまでの記録を残しています。今はマーケティング中心に綴っています。

読書感想 『銀行員はどう生きるか』 浪川攻著 講談社現代新書

最近フィンテック地方銀行という2つをテーマにいろんな本やレポートを読んでいまして、今回紹介するのはそのうちの1冊です。

 

銀行員はどう生きるか (講談社現代新書)

 銀行経営に関する本の感想です。興味が無い方には退屈な内容かも知れません。

 

銀行員はどう生きるか (講談社現代新書)

銀行員はどう生きるか (講談社現代新書)

 

 

ざっくりと内容を述べると、

 

日本の金融機関の経営は非常に厳しい状態にあるという現状を述べ、そこで働く銀行員の人生は激変するであろうという予測を展開する。

 

その一方で、アメリカの銀行と比べるとフィンテックをはじめとして新たな技術・サービスに対する感度が低く、顧客が求めるものを提供できていない。

 

日本の銀行は顧客のニーズをくみ取らず、銀行本意の対策を講じてきた。ゆえに顧客からの信頼を十分に得られていない。アメリカの銀行の成功例を見習って信頼獲得に努めるべき。

 

といった感じかと思います。厳しい現状、日本の銀行のまずい点についての言及が中心であり、その打開のためにどうすればよいかという事はあまり書かれていません。

 

提言というよりは、現状の説明といった印象でした。

 

 

詳しくは以前紹介した書籍を読んでいただければと思いますが、

toshihisa1527.hatenablog.com

 重要なのは、日本国内のほぼすべての銀行において収益の柱である貸出利息が減少している状況にあって、どうやって収益を拡大していく事ができるかだと思います。

 

デジタル技術(フィンテック)に対する対応をどうするかという点については、「やる」の一択であるはずです。もはや「やるべきかどうか」という事を論じる段階はとうに過ぎており、「いかにして迅速かつ低コストで導入できるか」を考えるべき時です。

 

それよりも、どうやったら資金需要を増やしていけるのか、これこそ考えていかなければいけない事では無いか、そう思います。

 

今後の銀行、特に地方銀行の経営を考えるにあたって重要な点を箇条書きで書き出してみると、

  • 日本の銀行の収益性は、アメリカやイギリスの銀行と比べて大きく劣る
  • 一方で、日本の金融機関の内部コストはアメリカやイギリスの銀行と比べて圧倒的に低い
  • 日本の銀行の大きな課題は、如何にして収益拡大を図る事ができるか
  • 収益の中心は貸出利息で、その金利はここ20年ほど低下の一途をたどっている
  • 国債の利率と貸出金利にはそれほど大きな相関がみられず、今後国債利回りが上昇しても貸出金利が上昇するとは考えづらい
  • 一方、預金貸出の比率を示す預貸率と貸出金利の間には高い相関がみられる
  • 貸出残高は地域の生産年齢人口と相関が高く、今後生産年齢人口の減少と共に貸出残高は減少すると予測される
  • 高齢者数の減少は、人口減少よりも緩やかに進む。金融資産を比較的多く持つ高齢者の減少速度が遅いという事は、預金は貸出ほど減少しない
  • 以上の事から預貸率は今後も低下すると予測され、預貸率と相関が高い貸出金利も同様に低下するものと考えられる

といった感じになるでしょうか?

 

銀行が貸し出す「お金」を一つの商品とみなせば、貸し出すときの金利がその「お金」の値段だと捉える事ができます。

 

モノの価格が需要と供給の関係で決まるとすれば、供給(預金の量)がそれほど減らないのに需要(貸出)が減少していくと、価格(利率)が低下するのは当然のことです。

 

ではマクロな視点で考えたときに、銀行として需要と供給のどちらを変えていく事ができるだろうか?という事になるわけです。

 

供給量を調整する、つまり銀行が預かる預金量をいじるのはちょっと難しそうです。なので、私個人としては需要の方を変えていかないといけないんじゃない?と考えています。

 

需要をどうやって増やしていくべきなのかという話は、長くなりそうなのでまた今度書きたいと思います。